夢見る空芯菜

映画おメモ

14.ふがいない僕は空を見た

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2010 監督:タナダユキ 原作:窪美澄

この映画もやすくん泣いた映画シリーズ。しあわせの隠れ場所と共に紹介されていて「感じ方によってだけど偶然泣ける映画だった」と。たぶん感じ方によって。はこの映画なんだとおもうよ。何人かの登場人物にスポットをあてていて、みんなそれぞれ抱えているものがあって。という内容なのだけど、初めはね、局部が映っていないだけで、もうエロビデオ!みたいびっくりしちゃって、おぉぉ。って。やすくんもこんなせつない気持ちになったのだろうかなどど陳腐なことを考えていたのだけどね、そんな映画じゃなかった。どぎついものって目に付きやすいし、そういう宣伝だったのだろうけど。斜めからみてごめんねって思った。性行為があって子供が生まれて生きていくのようなテーマだと思う。ぜんぶ感じ方。でもね、痛いの。とにかく痛い。日本の映画って日本人だからかなぁ。気持ちが、台詞という言葉にしなくても理解できちゃったりするからよけいに辛かった。監督がタナダユキ監督。百万円と苦虫女の監督なのだね。まだ2作品しかふれてないけど、登場人物が多くを語らないのがとってもいいなぁ。静かで穏やかに過ごそうとしている感じ。わたしいつも何かあるとわぁーってなる気質を持っているからそういう人にすごく憧れます。無言実行だったり。最近永山絢斗(ながやま けんと)くんすごいいっぱい観る。ちゃんと名前も覚えたよ。あと窪田正孝くんも最近良く観ます(と言っても私のよく観るは偏っているとおもうけれど)すごい印象的だなといつも思っています。いい演技するよねぇ。辛い映画だったんだけど辛いだけじゃないんだよー。素敵な人もいっぱい出てくるし素敵なこともいっぱいあるし、最終的にはなんで泣いてるのかわからなくなっちゃったんだけどいっぱい泣いちゃったよ。よかったよ。

追記。小説を読みました。いつも小説が先か映画が先かで悩んだりしています。私の私調べでは一度も読んだことのない作家さんの作品は映画を先にみると良い思い出になる確率が高いと思います。そして映画のことをそのお話を深く知るための手段だなぁと。小説もすごく良かったです。映画もほぼ忠実に描かれていて、もし先に小説を読んでいたとしてもストーリーや映画の作りに関してはほぼ言うことなしだったのかなと思いました。ちなみに先ほど深く知るための手段と書きましたが。この本は違った。読み終わって映画をもう一度観たような気持ちになった。本の中の人が涙を流すたびにわたしもじわりじわりと泣いてしまった。涙もろくなったもんだなぁ。あんずの話の文章は俗っぽさをも感じるのに、ああ~痛い子なんだな~とは思えなくて、太宰治の私の一番好きな作品「女生徒」を感じた。絶望を抱えて生きていて、先なんて真っ暗で見えないのに静かにひたむきに生きる。を感じさせるような。そして映画だけを見たときは失恋=陳腐なよくある話とも思っていたけど失恋って陳腐じゃないよね。好きな人が自分の前からいなくなる事って全然陳腐じゃない。福田の話も良かった。本当に良かった。映画でそうだといいな、と思うことが確信に変わった。本当に辛い暮らしをしていて、映画を観ている途中も胸が何度も苦しくなったのだけど、そんな環境なのに(そんな環境だからなのか)地位や名誉、見た目なんかに惑わされないでちゃんと人間を見ていて素敵だなとおもった。ああいう人間が本の中でだけでも出てくると本当に救われる気がする。